ハッとするほどの美しい人が、たまにいる。顔が可愛いだとか、
スタイルがよいだとか、そういうことではなくて、年齢を問わず、
話す言葉や、姿勢や、仕草や声の、美しい人のこと。
十年経っても、ゆるぎなく美しいであろうと思う人のこと。
 辰巳芳子さんという料理家は、私にとってそんな憧れの人だ。
著書である、『手からこころへ』(海竜社)は、
季節の変わり目にはかならず開く。

 よい日本料理は、よい日本語と似たところがあると
気づきはじめている。


 こんな一文からはじまる本書には、食の心を伝えよう
という気持ちがつまっている。

1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6